コンコンコンコンコン。
廊下の歩く音が響く。
周りには、たくさんの人がワイワイ騒いだり、パクパク食事を食っている。
そう、今は文化祭。
私は明日香ちゃんと、幸助と、風紀野郎がいると思われる1年2組の実習場所へ向かう。
手ごろで、美味しいと評判のある店らしい。
特に、風紀野郎が作るものが上手いと聞いたが、それが何かは定かではない。
店まで、残り3ヤード。
もう目の前だ。
しかし、ここに来て入ろうか、入らないか迷う。
それは、この人数。
ぱっと見た感じでは、満員以上である。
店の前で躊躇。
残り3ヤード残して、私は一歩が踏み出せない。
すると、後ろの男の人から「早くしてくれませんか?」と声をかけられた。
後ろを振り向くと、そこはなんとも言えぬ行列。
私は焦りながらも、店の中へと入っていった。
「いらっしゃいませぇ〜」
予想通り、席待ち。
私は、席待ちという面倒な事が嫌いだ。
だから、入るの躊躇した。
しかし、先ほどの「いらっしゃいませぇ〜」という声に聞き覚えのある声が耳に入った。
よく見渡すと、明日香ちゃんだ。
「あら!明日香ちゃんじゃない!!その服、似合ってるねぇ。そう言えば、風紀野郎と同じクラスじゃなかったっけ?あいつは?」
私は、明日香ちゃんに聞く。
その瞬間、風紀野郎のおびえる雰囲気が一瞬感じ取られた。
「え・・・あ、風紀は今、厨房で頑張って働いていますよ」
明日香ちゃんの、可愛らしい笑顔。
久しくこんな近くで見たね。
そのまま明日香ちゃんは、どこぞの誰かに呼ばれ、何処かに行ってしまった。
そのまま風紀野郎の作るものを食べれない可能性が出てきた。
そっと、考えると近くのウエイトレスと目があった。
ちょいちょいと手でこちらに呼ぶ。
なんでしょう?みたいな目で私を見るウエイトレス。
「風紀野郎って何担当?」
直球で聞く私。
「ふ、風紀野郎ですか?あぁ、彼はクレープでしたっけ?」
「ふ〜ん」
クレープか。
よりにもよって、私の大好物を・・・。
こりゃ楽しみだ。
今すぐ食べたい。
やばい・・・涎が。
席待ち?そんなの関係ない。
いつのまにか、この言葉を発していた。
「ここの責任者って誰?」と。
数秒たった後、先ほどのウエイトレスはこういった。
「山田幸助ですけど」
幸助・・・か。
これは、戦略立てるまでも無い。
ありのままで行けば落とせるだろう。
そう考えると、笑みがこぼれた。
「呼んで」
と一言呟くと、ウエイトレスは厨房らしき方向へと歩いて行った。
数秒待つと、幸助が暗い顔をして現れた。
重い足取り。
幽霊でも見ているかのようなスピードの遅さ。
「な、何ですか部長?」
恐れるものを見たかのような目。
そんなに私が恐いかあんたは。
「クレープ一つ。まぁ風紀野郎のお任せで」
風紀が、クレープ作っていることは知っている。
風紀野郎のお任せというわけで、どんなのが出来るかが楽しみだ。
「けど、やっぱりここは待ってもらわないと・・・」
私の言葉に、反抗する幸助。
お前の命、なくなるぞ?
最後の忠告のような声で幸助に言った。
「私の言うことが聞けないんですか?幸助君?」
すると、幸助の顔が見るも無残な顔に。
「ハイ〜〜〜!」といい、その場を立ち去った。
席待ちの場所で待つこと247秒。
明日香ちゃんにあと一歩の可愛さを持つ女の子がクレープを運んできた。
「おまたせしましたぁ!!」
なんと言う可愛らしさ。
「あなた、名前は?」
そう聞くとその子は不思議そうな顔をして、
「木村 凛です!」
木村 凛・・・覚えておこう。
今日は、収穫があった。
その気持ちでいっぱいになり、猫耳メイドカフェを出た。
風紀野郎が作ったクレープを片手に。
外にあるベンチに座り、クレープを一口かじる。
ここは、可愛らしく、小さめの大きさで。
パク。
・・・。
・・・。
う、うまい・・・よ。
中身は、よく分からない構成。
風紀野郎、特製クレープか。
その美味しさに、私は周りへと言いふらした。
「1年2組のクレープ、『風紀オリジナルクレープ』を頼め」と。
その後日、風紀野郎のクレープが売れたかどうかは定かではない。



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