集合場所。
空港。
集合時間。
9時2分。
只今の時刻
8時48分
こうして明日香と風紀の地獄な一日が始まった。

「おい!明日香遅いぞ!」
「そんなこといったってぇ・・・。ちょっと待ってよ風紀ぃ」
グホォ。
明日香。その言葉遣いは反則だ。
一瞬気が緩んだせいか走っている最中電柱にぶつかった。
「痛ぇぇぇぇ!」
「だ、大丈夫風紀?」
「大丈夫、大丈夫」
なんとかまだ走れる状態みたいだ。
まぁ、この状態に行くまでには色々深い事情があって・・・。
まず、俺たちが家を出た後の出来事。
「風紀・・・どうやって行くの?」
「はぁ?そりゃタクシーとかバスとか交通機関でいいんじゃないか?」
「タクシー乗れるお金がないよ?」
「じゃあタクシーはやめるか」
「・・・」
「・・・分かったよ。調べりゃいいんだろ!」
俺は仕方なくあらゆる情報を駆使して電車とバスに決定した。
そして、バスの方が506円(二人で)高いことが分かった。
しかし、バスの方が電車よりも10分早く着く。
さぁっどっち?
「電車」
即答ですね。
その行き方を決め終わった時間が7時半。
出発。
電車までは歩いて30分。
まぁまぁの時間だ。
30分かけて電車に乗り込む
「明日香。7駅後の阿倉駅になったら起こしてくれ」
いつもより、1時間以上早く起こされた俺はすごくすごく眠たかった。
「わかったよぉ」
明日香は笑顔で返事をしてくれる。
・・・このとき明日香に頼まなければ良かったのだ。
ガタンゴトンガタンゴトン。
電車が激しく揺れて俺は起きた。
「ん・・・明日香?後何駅?」
眠気がまだ残りながらも明日香に聞く。
「明日香?」
明日香の方をぱっと向く。
「・・・は?マジ?」
熟睡。
その顔が可愛すぎて抱きしめたかった。
だけど、、、ってそんな場合じゃない!
今は何処?
その時プシューとドアが閉まる音。
外を見てみると、阿倉駅より3駅後。
まじか。
「明日香?」
呼びかけても全く起きようとはしない。
その時、明日香は電車に揺られ、俺の肩に頭を・・・
って上手く行くはずもなく、俺は明日香の頭をよけた。
ドン!
頭がシートに叩きつけられる音。
「明日香大丈夫か?」
「ふにゃ・・・」
なんとか起きたみたいだ。
「明日香次の駅で一応降りるぞ?」
黙りながらもコクコクと頷く。
多分、今の状況を理解していないだろう。
この状態になっても明日香をかわいいと思ってしまう俺。
・・・駄目だ。
頭を横にぶんぶん振った。
そして、俺は明日香が寝そうなのをなんとかして寝かさず、次の駅までもった。
「明日香・・・」
「ごめんね?」
「遅刻するぞコレ?」
「だ、大丈夫だよ」
時計を見てみる。
ギリギリにも増して、ヤバイ。
3分ほどで電車が来た。
阿倉駅に着いたら乗り換え。
まぁそこはスムーズに行き、電車に乗れた。
その電車を降りて、走り続けると今のこの状態になるわけだ。
「くぅ・・・痛ぇ」
「大丈夫なの風紀?」
ってこんなことしている場合じゃない。
「おい明日香!走るぞ!全力疾走だ!」
「うん!」
一緒に走り出す。
1分後。
「はぁはぁはぁはぁ」
ピタ。
明日香の足が止まった。
・・・え?
「もう駄目・・・」
ふらふらしながら地面に座る。
忘れてた・・・こいつが体力無いことを。
クソッどうする?
9時2分まで12分。
大体空港まで2,2キロ。
まぁ俺なら余裕なんだが、明日香はもう走れない上体。
俺が普通の男ならば背負いながら走るのだが・・・。
仕方なく携帯をポケットから取り出す。
プルルルルルルル、プルガチャ。
中途半端な取りかたをするもんだ。
「部長。風紀ですけど」
「・・・あぁあの風紀野郎ね」
あのって他に誰が居るんですか。
と言うかその後の風紀野郎はもうおやめに・・・。
「どうしたの?」
「いや、明日香と途中でばったり会いまして、なんか死にそうモードなんですよ」
「へぇ〜死にそうモードね」
「どうしましょう?」
「今どこら辺なの?」
「ん〜あと2,2キロって所ですかね」
「じゃあ余裕で間に合うんじゃないの?」
「へ?」
「へ?じゃないでしょ・・・集合時間は忘れたの?」
「いや、忘れていないですけどもう明日香が走れないので」
「歩いても間に合う時間でしょ?」
「いやいや、後10分しかないですよ?」
「何言ってるのよ・・・。あと28分もあるじゃないの?」
「へ?」
「だから『へ?』じゃないって!集合時間は9時20分なんだから」
「そ、そうですよね?」
「分かったなら責任もってしっかりと明日香ちゃんを連れてくるのよ?」
「は、は〜い」
ピッと音が鳴り、通話終了。
・・・9時20分?
俺はどうしてこうも時間に遊ばれるんだ!
あの明日香の実家に行ったときもそうだったし・・・。
よくよく考えてみたら2分なんて微妙な数字出てこないだろ。
馬鹿だ俺。
「早く行こ風紀!」
明日香がゆっくりと立って笑みを作り俺にそういった。
「おぅ」
ゆっくりと歩いて、集合場所に着いたのが9時13分。
着いたときには一年生全員と、部長、由美さん、光雄先輩、が来ていた。
簡単に言うと、来ていないのは龍先輩だけ。
まぁ龍先輩はいつもギリギリか少々遅れで来るから大丈夫でしょう。
案の定、龍先輩は19分に来た。
それから搭乗口に向かう。
変なセキュリティも抜けて、いよいよ飛行機へ。 ・・・初めての飛行機。
緊張するなぁ。



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