「風紀〜〜!どうするの〜?」 「そんなもん知らねぇよ」 只今、迷子中。 俺たちは何の計画も立てずに旅館を出た。 何も計画していなかったのが駄目だったんだ。 こんな迷路のような田舎。 土地勘が無いやつが外に出たら迷うに決まってる。 しかも俺は、方向音痴。 明日香に任せても、明日香は変な場所に向かっていってるような気がするし。 どうすればいいんだ俺!! 「まぁ・・・このまま旅をする?」 明日香の無邪気な笑顔が目に入ってきた。 この顔をみてしまうと誰もが首を横に触れない。 てなわけで、俺は無意識に首を縦に振った。 「え〜!冗談だったのに・・・」 その言葉で俺は意識が正常モードに。 「へ?まぁついでにぶらぶらするか」 と言うか、今はそれしか出来ない。 道に迷っているのだから。 「ねぇねぇあそこ行ってみない?」 俺が「いいよ」という前に明日香は走ってしまった。 「お〜い明日香!」 ビューーーン! ・・・早。 と言うかあいつ体力ないんじゃなかったっけ? あれから7秒後。 ・・・バタ。 明日香失神。 「お・・・い明日香・・・」 俺は何をすればいいんだ? 一応は近づいてみたものの、明日香が無防備な姿で倒れている。 ん〜。俺が普通の男なら、背負って休ましてあげられるのだが、俺は女に触れないしなぁ。 これはピンチ。 そのうち車が来るだろうし、あぁどうしよう。 何も出来ずに10分後。 「ん・・・」 明日香が目覚める。 「おぉ明日か大丈夫か?」 「ふ・・・うき?」 「そうそう風紀だよ」 「私・・・何してるの?」 「ん〜あえて言うなら失神?」 「・・・あらそう」 明日香は「よいしょ」って年寄りのような声を出し、立ち上がる。 「お前はおじさんか」と俺が言うと明日香からの拳が飛んできた。 ピコピコピコピコ。 左頬ダメージ89。失神の確立76% 避けれる確立・・・82% 俺は頭を腹の辺りまでいっきに下げた。 明日香は拳を止めれるわけもなく、俺の頭の上を通り過ぎる。 俺はそのまま一歩、後ろに下がる。 「あ、危ないな明日香!」 「風紀がへんなこと言うから悪い」 「ご、ごめんって」 「分かればよろしい」 ふぅ・・・。 はっきり言って危なかったな。 気がつけば明日香が言っていた「あそこ」に着いた。 そして、あそこに着くと明日香が疲れたのか、地面に座る。 それに続いて俺も座った。 ん〜なんか雰囲気はいいんだが、見晴らしがいまひとつ。 もう少し違う所探すか。 「明日香!次、行くぞ!」 「うん」 俺達二人は立ち上がる。 そのとき明日香は「よ」と言った。 多分「よいしょ」と言いそうだったんだろう。 それを途中で無理やり止めた。みたいな感じだろうか。 明日香らしくて面白い。 俺たちはまたぶらぶらと歩き出す。 明日香といろんな話をしながら歩いていると、あの203から見えた海が大分近くに見えてきた。 「明日香!あれ見てみろよ。海だ!」 「海だねぇ〜!」 のほほーんとしながら明日香は言った。 もう少し、俺的には感動して欲しかったのだが。 何かいいところないかなぁ。 雰囲気がよくて、見晴らしのいい場所って・・・。 いろんな種類がありすぎて、よく分からん。 「ねぇねぇ風紀。あそことかどう?」 明日香が指を指した。 その先を目で追う。 そこには雰囲気が良くて、見晴らしがいい場所。 まぁ少し違うような気もするが、俺的には好きな場所だ。 「いいんじゃね?」 俺がそう言って、隣に居る明日香の方を向く・・・はずだった。 ・・・明日香がいない! 心の中で無意味なつっこみをいれてしまった・・・。 はむぅ。 なんか変だな俺。 と言うか、こんなこと考える前に明日香が何処行ったのか探さなければ。 俺は前を向き、走り出した。 だけど俺の足も50メートルぐらい先に進むと自然に止まった。 「またかよ」 はぁ〜と大きな溜息を着く俺。 明日香は何故か、先ほどのいきなりダッシュして、疲れて、倒れるということを学習していなかったようだ。 「バフッッ!?」 明日香が前回と同様に仰向けで倒れている。 だけど今度の明日香の格好は見たいけど見れない。 と言うか、心の底から見たい! だってあの学年一の明日香のスカートがめくれている。 だけど、相手は明日香だし・・・。 いや、明日香だから見たいというのもある。 俺はクマさんのパンツを3秒ほど凝視した後、俺は近くにおいてあった木の枝でそっと明日香のスカートを直した。 これでこそ男。 男の中の男だ! 自分にそう言い聞かせ、明日香が起きるのを隣に座りそっと待った。 6分後。 「行かないで!!!」 ・・・は? 因みにさっきの「行かないで!!!」は明日香がバッと起きた瞬間に発した言葉。 寝ている途中もボソボソ何か寝言は言ってはいたが、起きた瞬間にこのような言葉を発するとは。 「どうした明日香?」 「ん・・・。嫌な夢見た」 明日香はエヘヘと笑いながら「よいしょ」と言って立った。 その瞬間明日香の顔は「あっ」とした感じで、俺は笑いを堪えるのに必死。 「さ、さぁ。あそこへ行こう!」 明日香は誤魔化すように歩き出した。 俺はその後ろについていく。 嫌な夢とはなんだったんだろう。 何故かは分からないが、俺の頭はそればっかりだった。 ←戻る TOP 進む→ |
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