ぅ・・・頭痛い。
ここは・・・。
周りを見渡す。
どうやら浜辺のようだ。
隣には水浸しになっている明日香。
「おい明日香大丈夫か?」
耳元で言ってみた。
「ん・・・」
と言っているので生きてはいるんだろう。
・・・周りには何も無いな。
そういやあの時。
「風紀、風強いね」
「そ、そうだな」
中に居たときは分からなかったが、外に出てみるとすごい風。
部長は悩み、悩み続けて、挙句の果てに悩んで、することになった。
「まぁ大丈夫だろ」
龍先輩のこの言葉がきっかけで。
あの崖に着いた。
その上はすごい風。
雨は降っていない。
曇ってもいない。
しかし、立っていられるのもやっとだ。 波が風のせいで荒れている。
太陽がその崖の向こう側に綺麗に咲いていた。
その崖の端っこらへんに座るように命じられた。
俺たちは恐る恐る近づいていく。
明日香は俺の服をひっぱって歩いている。
気が狂いそう。
崖の端の方に着いた。
明日香の体制が崩れる。
・・・危っ。
気付いたときには遅かった。
俺たちはその崖から落ちていたのだ。
死ぬ・・・。
そう思った。
・・・しかしながら俺たちは何故か生きている。
明日香の強運か。
俺の悪運か。
まぁこの二つがごちゃ混ぜになって今の状況になっているのだろう。
・・・見る限り人の気配なし。
微かに肩と、右足が痛い。
折れては居なさそうだが、打撲と捻挫。
多分そんなところだろう。
「ぅ・・・」
明日香の目が微かに開いた。
「明日香」
「風紀?」
「そうそう風紀。お前大丈夫か?」
「なんとか・・・」
明日香もまず、周りを見渡す。
「ここ何処?」
やはりそう思うだろう。
実際俺も思った。が、はっきり言って分からない。
こんな景色見たことも無い。
あぁ〜無人島か?
「無人島か?とか思ったろ風紀。」
その言葉に反応して後ろを向く。
「龍先輩!」
「大丈夫か?あんな所から落ちて・・・」
「まぁ少し身体が痛みますけど」
「そっか」
そう龍先輩が言うと後ろから部長が顔をひょこっと出してきた。
「部長もいたんですか」
「何?風紀野郎。居ちゃ悪いわけ?」
可也不機嫌そう。
あまり刺激しちゃヤバイな。
「明日香ちゃん大丈夫?」
「は、はい!」
「そう、良かった!ヒロインが死んじゃったら話しに成らないものね」
ということは部長。俺ならいいのですか?
ふと疑問に思った俺でした。
「けど風紀野郎は少し尊敬したわ」
・・・ん?
先ほど部長の口から
「信じられないものが」
龍先輩が俺の心の中を読んだのか、俺が言おうとしていたことを言っている。
「龍先輩!人の心を読まないでください!」
「だって風紀スケスケ過ぎ」
スケスケですか。
そういや、何で部長は俺のことを?
「何で部長は俺のことを褒めたのだろう?とか思ったろ?」
また・・・読まれた。
「そんなこと思ったんだ風紀は。仕方が無い教えてあげるわ」
「何か聞かなくてもいいような気がする」
「いまなんといいました?」
殺意のこもっているような笑顔が俺の眼に写る。
「い、いえ。何にも」
「だって風紀野郎明日香ちゃんをかばいながら落ちたんだよ?」
・・・へ?
俺が?
「え・・・風紀が?」
明日香は少し戸惑ったような顔。
いや、そういう顔されても困るんですけど。
「風紀有難う!」
「う、うん」
・・・全く覚えてない。
まぁ、そういう行動をとったのなら、俺はその時気絶したであろう。
「皆はもう太陽壮に帰しておいたから」
「そうっすか」
明日香のびちょびちょの服もどうにかして欲しい今。
男の理性を保てるのか。
・・・うん。
俺たちは太陽壮にゆっくりと戻った。



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