「起立。礼」
誰かがそういい、学校が始まった。
俺はしっかりと教室に居る。
隣には明日香。
まぁ明日香は最初のこの時間に興味が無いのか、俺にいろんな話をしてくる。
なんで、こうも話が次から次へと出て来るんだよ。
「そこ話しない!」
先生に指摘された。
い、いや、俺は一言も喋っていないのですが。
「話なら後にしなさい!」
だから、喋ってないってば。
教室内からクスクスとか言う、笑い声が聞えてきた。
注意された明日香は、エヘッみたいな感じで先生に謝ってる。
「はぁ・・・」
こいつが俺の支えかよ。
先生の長い説教も終わり、休み時間になった。
俺はその場に立つのも面倒になっている。
次の時間は移動教室じゃないしな。
机の上に伏せてしまった。
「風紀!風紀!授業始まったよ!」
明日香が俺の肩を揺らしている。
・・・。
「う・・・う・・・」
・・・。
「うっわぁ!!!」
身体中にひんやりとした汗の冷たさ感じられる。
・・・。
直ったと思ったんだけどな。
やっぱ、直らないんじゃないか?これ。
因みに俺の今の状況は、その場に仁王立ち。
今は理科の時間で、実験のせいか俺と明日香の机が引っ付いている。
俺の椅子は後ろの机に当たって吹っ飛び、机は前に倒れている。
しかし、誰一人笑うものは居ない。
逆にそれはそれで嫌なんですけど。
選択肢は、
自ら笑う。
そのまま教室を出て行く。
机と椅子を戻し何事も無かったようにする。
ドラ○もんを呼び、時間を戻してもらう。
・・・。
どうする俺!
「香坂君、怖い夢でも見たのかね?」
理科の禿げ先生が俺にそういった。
「いえ、先生。僕は、先生の髪の毛が増える夢を見てしまいました」
どっと、笑い声が起きた。
フッ・・・先生。
俺のために犠牲になってくださって有難う。
そのまま机を取りにいく。
その次に、椅子を・・・。
「はいこれ」
すっと椅子が出てきた。
「ありがとう」
そう言い、その渡してくれた人の顔を見る。
そして、次の瞬間目をそらした。
「・・・凛」
さっきまで聞えていた笑い声も聞えなくなった。
「大丈夫?風紀」
「う、うん」
本当に、笑い声が聞えなくなった。
「風紀、私ね・・・」
そう凛がつぶやいたのと同時に、明日香の声が俺の耳に入ってきた。
「風紀。早く座って!」
その言葉でス〜と我に戻った感じがした。
「お、おう」
椅子を手に取り、明日香の隣へと座る。
鳥肌がたっている。
吐き気も。
明日香・・・。
授業も何事もなく始まった頃だった。
すっと、周りから見えないように隠しながら、明日香が俺の手をつかんだ。
・・・明日香。
あの時と同じように、気持ちが安らいだ。
さっきのとは違い、心が安らいだ。
何でだろう。
そして、次の瞬間左手に感じていた感触が消えた。
繋いでいてくれた時間は数秒だろう。
その時間が長く感じたのは言うまでもない。
その次の休み時間。
幸助が俺の元にやってきた。
「風紀?」
「何でしょうか?」
「お前、凛ちゃんとどういう関係なんだ?」
・・・。
何でそんなこと聞くんだよお前は。
「どういう関係でもないぞ」
「そんなこと無いだろ。凛ちゃんの自己紹介の時、お前と知り合いだって」
「知り合いなだけだ」
俺は冷たく言い放った。
幸助も俺の殺気に気づいたのだろう。
そこで会話を終わらした。
その日の放課後、明日香と亮平と共に部活へ向かう。
まだ、顔を合わすのは無理だ。
だけど、俺の側には明日香がいる。
大丈夫だ。
亮平が特別教室のドアを「ちわ〜す」と言いながら開けた。
目の前には部長。
その後ろに龍先輩が。
今日は、夏休み明けてからの初めての部活。
昨日、俺は早退してしまったが、運が良いのか悪いのか部活が無かった。
「あっ!こんにちわ亮平君と明日香ちゃんと大根役者」
部長が嫌味ったらしく俺たちにそういった。
「大根役者なんてここにいらっしゃいますか?」
俺は言い返す。
「あら、自分で分かっていないのは馬鹿の証拠なのかな?」
・・・う。
「はいはい。分かってますよ。今回、映画の主役を務めて、部長を惚れ直させたこの風紀様でしょう?」
「誰が、惚れ直しただって?私はそんなこと一言も言っておりませんわよ」
・・・部長、キャラ変わってますよ。
「では、今日の部活を始めます!」
みんなの方を向き、部長は言った。



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