なんだか・・・変だ。

ずっと先に居る凛ちゃんから「風紀ぃぃぃぃぃ!」っていう声が聞えた。
風紀は「何だよ・・・」といいつつも駆け足で凛ちゃんのほうへ行った。


胸が苦しいよ。
何でだろう??



フウキ・・・置イテカナイデ。凛チャンノ所ヘ行カナイデ。私ノ側ニ居テヨ。

フウキ、助ケテヨ


ワタシ・・・。

ワタシ・・・。

わたし・・・。

私、変だ。


今、風紀と凛ちゃんはメイド服らしきものを二人で見ている。
二人で・・・見ている。
風紀が凛ちゃんと一緒にいると吐き気がしたり、胸が痛い。
嫌な気分になる。
・・・病気だ。
痛さの原因を突き止めるために、この前私立病院へ行った。
優しそうで、ドラマに出てきそうな先生でも
「・・・分かりませんね」
と言われた。
私がその言葉にがっかりすると、先生がふと思い出したかのようにこう言った。
「周りを見てみるのもいいかもしれませんね。もしかしたら、何か分かるかもしれませんよ?けど、このことは人に言っては駄目です。勿論、仲のいい友達や親にもね」
にこっと先生はそこで笑ってくれた。
けど、先生。
原因不明の病気ですよ?
危ないじゃないですか!見逃したら、生命の危機に陥る病気かもしれないんですよ!
風紀はこのことを知らない。
勿論、沙希や他のみんなも。
もしかしたら、私の人生はあと少しなのかもしれない。
風紀の所へ行こうとしても行けない。
ピタッと足を止め、いったん休憩。
その休憩時間を利用して、風紀たちのほうを見た。

ドクン

と大きな音がしたのが聞えた。
その音と同時に、あの痛みが襲ってくる。
う・・・今度は。
い、い、息が出来ない。
走っていないのに、息が出来ない。
し、深呼吸だ。
ヒ〜ヒ〜フ〜ミ〜。
あれ?ミ〜っていったっけ?
まぁいっか。
ヒ〜ヒ〜フ〜ミ〜。ヒ〜ヒ〜フ〜ミ〜。
・・・もう!
胸の痛みが治まらない。
深呼吸をしたせいで、何故かもっと苦しくなってきた。
涙が出ちゃう。
意識も・・・・。
「だ、大丈夫か明日香!?」
ふと、意識を正常状態に戻すと、目の前には風紀が居た。
「う・・・うん」
実は私、原因不明の病気で、あと何日命が耐えられるか分からないの!
と、言いたかったが、先生の言葉を守り、嘘をついた。
「そ、そうか」
風紀の呆気ない返事が返ってくる。
「ちょっと、あそこで休もう」
風紀のその言葉に従って、ベンチへ向かって歩き出した。
ベンチに座っても話す言葉が見つからない。
ここに来て、頭の中が真っ白だ。
一応回復。
「もう大丈夫!」
すくっと立って、今私ができる元気を体中で表現してみた。
その表現の仕方で風紀は納得した模様。
二人で凛ちゃんの待つ場所へと向かった。
「なぁ、明日香。それ一回着てみろよ」
ヘヘヘと笑う風紀を見て、断ることも出来ない私。
本当にみっともないね。
「うん!!わかったぁ!」
凛ちゃんの手中にあったメイド服と猫耳を取り、試着室へと向かう。
中に入り、着替え終えた。
・・・私があの場所を離れたことによって、今凛ちゃんと風紀は二人きり。
出にくいなぁ。
よし、ここは勇気を振り絞って・・・
「ジャ〜ン!」
・・・コメント無しですか!?
もしかして、出るタイミング間違えた?
「あ・・・ぅ・・・え・・・と」
風紀が言葉に迷ってる。
やっぱり、タイミング間違えたんだぁ
けど、このままコメントを貰わないのは、余計に恥ずかしい。
「どうかな?」
と、そっと風紀に聞いてみた。
「い、いいんじゃない?」
お!
好印象だ〜!
けど、風紀の顔が引きつってる・・・。
まぁそこは気にしないで置こう。
「じゃあ、私も着るぅ!」
凛ちゃんは、そう言ってメイド服と、猫耳を持って試着室へ入って行った。
その後、凛ちゃんが出てくるまでの2分間。
風紀と色々な事を話した。
その時間がとっても長く感じて、安らぎに感じた。
凛ちゃんが出てきて風紀の顔はさっきより、引きつってる。
心配で心配で、私が風紀に言った言葉が「だ、大丈夫?」だった。
「む、無理!」
と、風紀は意味不明な言葉を言う。
「な、何が!?」
私は、大丈夫かと心配したのに・・・無理とは何だぁ!
「お、お前等!まず、着替えろ!」
風紀はそう言って外に出て行った。
風紀は・・・照れているだけなのか。
何故か分からないけど、頬の肉が落ちそうなぐらい笑うことになった私だった。



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