コッケコッコー!
朝、鳥の鳴く声が聞える・・・はずがない。
ここは、田舎でもなく、都会でもない。
どちらかと言うと、都会に近い町。
コケッコッコーと鳴く鳥が居るはずが無い。
居るとしたら、アニメの中か、テレビの中か、漫画の中か・・・。
あえて、小説は抜いておく。
そして、いつも通り起き、いつも通りの朝を迎える。
・・・嘘。
いつも通りではない。
昨日の夜、漫画を読んでいたらAM3時になっていた。
睡眠時間、約4時間。
いつも以上に眠たいし、いつも以上に起きるのが遅かった。
ふぁ〜と大きなあくびをする。
そして、いつも通り着替えて、学校へと向かった。
家を出た途端、郁が目の前で「いってきま〜す」と親に言っている姿がある。
そのまま、私は郁の近くにより「おはよ」と声をかけた。
「おう!楓!いつも以上に目が腫れているぞ?そんな可愛げの無い顔で出かけたら、人様に迷惑をかけてしまうぞ?」
「あんた・・・殺すわよ?」
いつも以上に寝ていない。
そのせいか目の下には隈が出来、目が腫れている。
「恐い、恐い」
「あんたねぇ〜」
と、郁の顔を見るとへらへら笑ってる。
そのまま、郁と色々話していると学校に着いた。
私と郁は、違う場所へと荷物を置く。
まぁそれが常識なのだが。
私が荷物を置き終えると、友達の宮木 真苗(みやぎ まなえ)が話しかけていた。
すると、いきなり恐い顔をして「疑問に生じたことがある」とか、なんとか言い出して、昼休みに学校の裏へと来るように言われた。
学校の裏=喧嘩ではない。
彼女はただ単に、学校の裏が好きなだけだ。
しかし、昼休みの休み時間は20分しかない。
  学校の裏へと移動する時間は歩いて5分。
往復10分なのだ。
話していられる時間が10分しかないのに、学校の裏へ来いと言う。
女の子にとっては少なすぎる時間・・・と、思われるが、彼女と話すのに10分もいらない。
ましては、多い方だ。
長々しい午前の授業も終わり、学校の裏へ行こうとする。
一歩踏み出すと、目の前には行くが立ちはだかった。
「な、何?」
私を見下ろす郁。
いつの間にか身長が大きくなりやがって。
「何?じゃねぇだろ?」
・・・は?
上のほうから見続けられている私。
見下されている感じで少し嫌だ。
郁から見たら私は、上目遣いなんだろう。
「何処行くんだよ?」
今の郁から言われると何気に威圧感がある。
しかし、何処と言っても学校の裏だ。
「が、学校の裏?」
威圧感に負けたのか、私は最後に?をつけてしまった。
その行動が悔しい。
それで、学校の裏へ行ってからは・・・ 「また、真苗と喧嘩か?と言うか、今、妄想に入りそうなところだったろ?」
糞。
ばれていた。
・・・おっと!また、妄想に入ると郁がキレる。
と、言うか時間が。
「ご、ごめん!」
私は風を切るように走った。
あの子が怒るとやばいことになる。
「ぜぇぜぇぜぇぜぇ〜」
女の子とは思えない息の荒さ。
その姿を見たら、誰も「女性」とは言わないだろう。
いいよ。いいよ。私はどうせ、こんな女なのだから。
涙がちょろりと出てきたがそこは気にしない。
「ごめん遅れた!」
「そ」
と、短文で返す真苗。
恐ぇ〜。
大きく空気を吸ってはく。
その行動をした後、私は真苗に聞いた。
「それで?」
地べたとも言えない所で座っている真苗が真剣な顔をして、こう言い出した。
「あのね、噂なんだけどね・・・真実は知らないんだけどね・・・」
何も、答えられなかった。
郁のことは何でも知っていると・・・侮っていた。
生まれたときから同じ・・・とは言いがたいが、幼稚園に入る前から一緒にいる私たち。
私のお父さんと、郁のお父さんが親友で、
私のお母さんと、郁のお母さんが親友で。
だから、私たちは親友で。
だけど、お互いに恋愛感情と言うものは無かった。
むしろ、恋愛について話していたほどの仲だった。
あの出来事が起こるまでは。
中学1年生のある日、新斗君に告白された。
私は、そのとき彼が好きだった。
勿論、男としてじゃなく、友達として。
だから振った。
恋人同士になることを拒否した。
何故かは分からないが、それ以来互いの恋愛に関しては話さなくなった。
・・・そういえば昨日、何ヶ月ぶりか分からないが、私の家の前で郁に引き止められた。
「なぁ楓」と言われ。
私は、振り向き「何?」と聞いた。
「明日、昼休みに・・・話がある」
あんな深刻な顔をした郁。
久しぶりだったのに・・・何で・・・。

私、このこと忘れていたのだろう?



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