「遅いよ風紀!」
大きなカバンを片手に明日香が玄関で待っている。
「ちょっと待ってって!」
大慌てでカバンに荷物をつめる。
「早くしないと、沙希と亮平君来ちゃうよ?」
「あぁ分かってるって!あと少し!!」
最後に着替えの服を入れて終了!
「よしOK!」
そう言って、俺は自分の部屋のドアを開けた。
玄関で靴を履いているときに家のインターフォンがなった。
「やべ・・・」
思わず俺は声を漏らしてしまう。
「はいは〜い!」
そう言って明日香が玄関のドアを開けた。
やはりそこにいたのは沙希と亮平。
「風紀は早いわね」
「沙希も早いではないか」
「はいはい。早く行こう」
そう言って俺たちの会話を止めたのは亮平。
「じゃあ行く?」
明日香がみんなにそう聞いて俺たちは頷いた。
バスで20分。
電車で1時間半。
バスで25分。
徒歩10分の合計2時間25分で明日香の実家に着いた。
田舎って言えば田舎か。
俺たちが今住んでいる所よりは田舎って感じだ。
少々山があるが、別に不自由って言うわけでもない。
「ただいまぁ〜」
明日香が一番最初に家の中に入って行った。
明日香の家は田舎のような木製で、中は結構広い。
俺たちが住んでいる所よりかは、はるかに広い。
家の中からドドドドドと誰かが走る音が聞える。
「おかえり〜明日香!!!!」
その足音の正体は明日香のお母さん。
はっきり言って・・・美人だ。
明日香が15歳と言う事は絶対30歳は超えているはず。
しかし、見た目は20代と言っても誰もわからないだろう。
「えっと、こちらさんが私のお友達」
俺たちのほう方を見て明日香がお母さんに紹介する。
「それで、それで噂の風紀君は?」
「噂の風紀君はこちら」
明日香が俺の方を凝視する。
「こ、こんにちは」
俺は軽く頭を下げる。
何気に緊張。
やっぱ、初めて会う人とは緊張するな。
「ウフフ。まぁあがってあがって!」
お母さんが笑いながら言うもんだから冷や汗が出てきてしょうがない。
もうさっきは言われるのかと思った。
明日香のお母さんの顔がニヤついているのが本当に怖い。
最初に俺たちが向かったのは泊めてもらう場所。
明日香の部屋の隣の部屋が空き部屋ということなので俺と亮平はそこに布団を引いて寝ることになるらしい。
只今の時刻、15時。
「風紀〜!ちょっと〜!」
今、寝所に居る俺は明日香の声がドアの向こうから聞えてくるのが分かった。
「何〜?」
そう言って、亮平を一人残して部屋を出る。
「お母さんが私と風紀だけで下に来てって・・・」
少し心配そうな顔をしている明日香。
「分かった」
そう言って明日香と一緒1階へ。
ズシズシと階段を下りるときに鳴る音。
これは破れないよな?
そう思いながらそっと階段を全て降り終えた。
それからは明日香の後ろについていく。
「こ、こんにちは」
リビングに着き、目の前に居たのがやはり明日香のお母さん。
「こんにちは。いつも明日香がお世話になっています」
「いえいえこちらこそ」
と意味無いような挨拶を交わす俺と明日香のお母さん。
「それでお母さんどうしたの?」
明日香が椅子に腰を掛けて言う。
目で明日香が座れば?という感じで見てきたので座ることに・・・。
「明日香はいつもどのような感じなのでしょうか?」
お母さんが俺の前の席に座って聞いてくる。
「明るくて、面白い子ですよ。家事も良くやってくれますし、頼もしい子ですね」
笑みを作りながら俺は言う。
「それで、あなたは明日香と付き合っているんですよね?」
なんとなく心配そうな顔をして、明日香のお母さんが聞いてくる。
「お母さん!違うって言っているでしょ?」
「けど一緒に住んでいるてことは嫌いではないんですよね?」
はっきり言って俺は誰から見ても困っている顔をしているだろう。
実際困っているのだから。
「まぁ、どちらかといえば好きですよ」
「風紀も何言ってるのよぉ!」
少し赤面になっている明日香が俺の隣に居る。
お母さんはお母さんで「あらまぁ」と言っている。
俺は嘘は言っていない。
実際好きだ。
だけど、この好きは決して恋愛感情ではない。
それは・・・確信できる。
その瞬間、2階からギシッという音が聞えた。
俺と明日香はぱっと振り向く。
シンクロの人も驚きのぴったり差であっただろう。
「やっぱそういうことだったんだね」
沙希の声だ。後ろには亮平もいる。
「あの明日香の家に行った日以来可笑しいとは思っていたんだけど、証拠が無かったからね」
「そうか?俺は気付いていたけど・・・」
と、亮平が沙希に向かって言う。
さすが、危険人物の二人。
明日香の顔も諦めムードだ。
ここに来て・・・ジ・エンドか。
明日香の顔を見ていると目があった。
その後俺は亮平と先のほうを向いて
「分かったよ」
と、呟いて二人に今までのことを話し始めた。


「お前の親なら考えそうだな」
亮平は頷きながら言う。
「でも、それは高校生では危ないよね」
二人とも真剣に考えてくれているらしい。
「だから二人はこのことを漏らさないようにお願いね?」
明日香の精一杯の落としフェルモン放出中。
これは、女子にも聞くらしいな。
二人は大きく頷いた。
「今から何する〜?」
沙希が暇そうにそうやって答えた。
いやいや、俺たちの話はそんな簡単に終わるのか・・・。
「ん〜そうだねぇ〜」
って明日香もその話に乗るなぁ!
「どうしましょうかねぇ?」
最後は亮平ですか・・・。
「風紀は何したい?」
明日香が俺の方を向いて可愛い顔で聞いてくる。
その顔で一種運頭の中が真っ白になるんだ。
「な、なんでもいいよ」
やっとの答えがこれだ。
俺、情けない・・・。
「ん〜」
俺を抜く三人の悩み声が一緒に聞えた。


結局俺たちは明日香の実家でボーっとすることに。
明日香のお母さんと喋ったり、ゲームしたり、色々。
明日からは予定があるらしい。
明日香のお母さんが決めたことだ。
決して逆らえない。
そして、明日香のお母さんの手料理の晩御飯を食べ、その日はもう寝た。
意外とあの移動時間は効いたらしい。
俺たちは深い眠りに入った。



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