ズラーと並ぶ新1年生。 これが・・・今年の1年生か。 「可愛い子探してるんじゃないぞ? 風紀」 いつの間にか横にいた幸助。 「お前じゃないんだから」 俺は不敵な笑みを作り、自分の出席番号の所へと足を進める。 新1年生の男共の目には多分・・・いや確かに明日香が写っているのであろう。 彼氏として他人のそういう行為が許せない。 「お前等俺の彼女をそんな眼で見るんじゃネェ!」って言いたいけど・・・。 ん〜俺と明日香が付き合ってること秘密だしね。 通常、俺たちの学校は各クラス2列に並ぶのが普通になっている。 だから香坂の「こ」と清水の「し」が結構近いので・・・。 「おい、風紀なに考えてるんだ?」 俺の後ろに亮平が居ることになる。 「そうそう。知ってるか? 今年の1年生、明日香狙いが16分の9いるらしいぞ」 16分の9!? 16人に・・・9人が・・・。って!そんな微妙な数、どうやって調べたんだよ。 と心の中で思ってはいても、言葉に出せない俺だった。 「そういえば亮平。最近、思ったんだがいくら亮平でも、入手できない情報があることを」 なんだ? なんだ? みたいな顔をしているが、それを亮平に教える義理は無い。 亮平のファンクラブや、好きな奴が・・・大勢居ることを。 そして、始業式も校長先生の話が長かっただけですぐに終わった。 教室に戻ると、見慣れた顔ばかり。 確かに、教室もクラスも変わった。 けど、こいつらがいると、なんでも慣れた雰囲気になる。 「さぁ! 室長を決めましょう!」 先生が教壇の前に立ち、みんなにそう言った。 「香坂君でいいとお思いますぅ!」 あ〜俺。って俺!? しかも、さっきの声は・・・。 「り、凛!?」 同じクラスなの!? 意味も分からず、その場に立ち尽くす俺。 うわぁ〜最悪。この環境、この遭遇。 もう少し、普通なクラスの組み合わせは出来なかったのか馬鹿先生! 「はいはい。固まるのはそこらへんにして、さっさと座りなさい香坂」 「は、はい」 椅子を元に戻し、しっかりと腰掛けた。 第一印象最悪だな。 あちらこちらからクスクスと言う笑い声。 や、やめてくれぇ! 「まぁ、そんなこんなで室長は香坂で」 そう先生が言うと、クラス中からパチパチパチパチと拍手がはき起こった。 マ、マジか。 「副室長したい人〜?」 先生がそう聞くと、バッと隣の方で手が上がる音がした。 「明日香ちゃんしたいの? 分かったわ。明日香ちゃんで決定ね!」 再び拍手が沸き起こった。 「いや〜私が3年間受け持った生徒が室長とはね。なんか変な感じするわ」 ・・・何故? 「まぁ香坂だし、仕方ないか」 仕方ないって何だよ! 「じゃあ、室長と副室長は、用事があるから放課後、私の元にきてね♪」 音符はいらないから。 ―――――放課後。 「風紀。そこ違うよ。もう少し右」 「ここ?」 「ぅ・・・違うってここ!!」 俺達は、只今面倒くさい作業に没頭中。 俺は、こういう作業はなれていないんだ! 生徒の資料まとめ。 まず、出席番号に直して、左上だか、右上だかどっちか忘れたが、そこにホッチキスを打ち込む。 そして、それをなんかして・・・って全く説明になってないか。 「あ〜俺、もう無理!」 「弱音吐かないの!」 明日香、そんな目で俺を見つめるな。 「あ〜なんか暇だね。うん暇だ。お前等二人は、いちゃいちゃと言うものを知らないのか?」 ・・・そういえばこの教室に亮平がいたな。 すっかり忘れていたよ。 「そんなもん知らねぇよ! 暇なら帰ればいいじゃん」 ウルウルした目に変えて、亮平は俺に訴えてくる。 「なんだって!? 親友の俺を見捨てるのか。俺は・・・俺は・・・悲しいぞ」 泣く真似をする亮平。 俺達そんなことに構って上げられるほどお人よしじゃないから。 「構えよ」 「嫌だ」 「ケチ」 「関係ないだろ」 俺と亮平は目をあわす。決して逸らさない。 「・・・風紀ぃ? 手を止めちゃ駄目!」 明日香が俺の視界に無理やり入ってきてそういった。 「はいはい」 俺は、作業に戻る。 「てか、そんな変な演技をするな亮平」 俺が注意すると、亮平はニヤッと笑ってこう言った。 「日々鍛練」 いや、違うから。 そして、今日の作業は終わった。 ←戻る TOP 進む→ |
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