職員室へと一歩一歩近づいていく。
呼ばれる理由は、あれしかないだろう。
『同棲疑惑』
教室を出るときに、風紀が「大丈夫か?」と聞いてくれた。
私は笑顔で「何でよぉ? 余裕余裕!」って強がった。
職員室のドアに手を掛け、左に開いた。
すると、先生は奥の部屋からこっちこっちと手で合図してきた。
奥の部屋へと行く。
そこには、大きなソファー。
私の好きなふかふかだ。・・・って、そんなこと考えている場合じゃない。
先生が「座って」と笑顔で私に言った。
「はい」
渡しはふかふかのソファーへと座る。
「話なんだけどね、まぁ分かってるとは思うけど学校に張り紙のしてあった事件のことなんだけど」
私は小さく頷いた。
「A・Aってのは明日香ちゃんなの?」
私は首を横に振った。
「だよね? だけど、先生方はみんな明日香ちゃんじゃないかって疑ってるのよ」
「私じゃないです!」
「私は勿論の事、これっぽちしか疑ってないよ?」
疑ってるんですか!?
「まぁ、私は信じてるけど念のため、と言うか、他の先生を信じさせるために今日の放課後、家庭訪問をしたいと思うの」
さっき疑ってるって言ったのに。
「家庭訪問ですか?」
「明日香ちゃんって今、一人暮らしだったわよね?」
小さく頷く。
「明日香ちゃんのお母さんには電話したから、今日学校に来てくれることになったの。それから私と、明日香ちゃんと、明日香ちゃんのお母さんとで、今明日香ちゃんが住んでいる家に行くから」
「・・・」
「いいわよね?」
「はい」
私は先生の方に笑みを浮かべて返事をした。
「じゃあ、話は終わりよん♪ また話したいことがあったら相談してね!」
あんたなんか信じられないよ。と、思った私だった。
教室へ向かう足がいつもより早く動いているのが分かる。
授業はとっくに始まってるし、入室許可証もらい、自分の教室のドアの前へ行く。
そのとき、足が止まった。
風紀になんて言おう。
さっきからそればっかり考えている。
私がドアに手をかけ、ドアを開けた。
いっせいに私にみんなの視線が浴びせられる。
私は、少し俯き加減で、自分の席へとついた。
授業の準備をしていると、隣から一枚の紙が。
『どうだった?』
風紀だ。
『あの話だったよ』
『なんか聞かれた?』
『今日、家庭訪問するって・・・』
『マジか?』
『マジみたい』
しばらく、風紀は考え込んでいた。
次の休み時間、風紀は亮平君のもとに行って、なにか話をしている。
私はと言うと、クラスの女の子がまた寄ってきて「先生と何を話したの?」とか、色々と聞いてくるわけで。
「え? あぁ、進路のことだったよ。私、大学に行くかまだ迷っているんだよね」
エヘヘって頭をかきながら誤魔化す。
風紀は、まだ亮平君と話をしている。
「ねぇ? 明日香」
「ご、ごめん沙希! 聞いてなかった」
「だから、大学って難しいんでしょ?」
沙希が、周りの女子達の話題を変えてくれた。
本当に優しいんだから、沙希は。
その後、他の女の子達を沙希は蹴散らしながら、私の席には私と沙希だけとなった。
「それで、実の所あの話だったんでしょ?」
沙希は周りには全く聞かれないように高度な業で私に聞いてきた。
私は沙希みたいに高度な技は出来ないので、軽く頷く。
「大丈夫そうなの?」
首を軽く横に振る。
「そっか・・・と言うか、あんた達の今の住所どうなってんのよ?」
・・・考えたことも無かった。
私達の住所がどうなってるだなんて。
私の住所があのマンションの住所になっていて、風紀が違う住所になっている。
のだろうか?
深く考えても、今更意味がなさそうなので、考えないことにした。
次の授業は英語。
風紀と亮平君は居なくなっていた。



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