俺たちが学校内に入ると、ザワザワがいっきにシーンとなった。
その中に悠太が居る。
「どうしたんだよ。悠太」
こんなに注目されるのも悪くは無いが、原因を知りたい。
「どうした・・・って、これ見てみて!」
悠太が指を指した方向に目を向けると、とんでもない張り紙がしてあった。
「なんだよ。これ」
俺の目を疑った。
『大スクープ! 学校のアイドル3年のA・Aさん。まさかの同棲!?』
A・A。つまり秋本 明日香。
「A・Aって誰だろな」
隣で、亮平が意味不明な事を言っている。
本気で言っているのか、嘘で言っているのか、俺にも分からない。
分かっているのは、A・Aは誰かって言うこと。
これを張った奴は昨日の覆面の男だろう。
「A・Aって・・・明日香ちゃんじゃないよね?」
悠太が明日香に聞いた。
明日香は平然とした顔で答えて見せた。
「え? 違うよぉ! 私、同棲して無いもん。一人暮らしだもん」
さすがは映画研究部副部長。そして演技も上手な明日香。
「そ、そうだよね! 何勘違いしてるんだか僕は」
ごめん、ごめん。と誤りながら悠太は後ろへと下がっていった。
俺たち3人が教室に行っても、みんなの注目を浴びることとなる。
「秋本さん! A・Aって秋本さんじゃないよね?」
クラスの女子が、明日香を囲んで問いただしている。
明日香は、名演技を見せながら「違うよぉ」と言っているのだろう。
ここまでは流石に聞こえない。
ここまでと言うのは、俺の机(明日香の隣)から右斜め後ろに3Mぐらい離れた場所だ。
女性恐怖症の俺が、あんな所に居たらぶっ倒れてしまうだろう。
「どう思うよ。風紀?」
亮平が俺に話しかけてきた。
「どうって・・・犯人は覆面の男しか居ないだろ」
そんなこと分かってるよ! 見たいな顔をされても困るんですけど。
「そいつが誰か分かんないのか? って話」
そんなもんは知らん。
「真面目に考えろって」
は?
何を言ってるんだこいつは。
「なんか言ったっけ? 俺」
「そんなもんは知らん。って言ってたけど?」
嘘ぉ!!
また、知らぬ間に喋ってしまってしまっていた。
って!
油断してると、また知らぬ間に口に・・・
「出てるから」
亮平が呆れた顔で俺を見てくる。
そんな事言ったって、しょうがないじゃないか。
「それで、誰なんだろうな」
俺と、亮平は一緒に頭を悩ませた。
そんなことをして、犯人が分かるならとっくに捕まって・・・る?
そういや、あいつの体型と声・・・
どっかで聞いたことあるような、見たことあるような。
悩んでも、悩んでも出てこない。
「どうしたんだ? 風紀」
心配そうな顔をしている亮平。
「いや、なんでも」
不確かな事は言わない方がいい。
やっとのことで、学校の始まるチャイムが鳴った。
しかし、明日香の周りにいる女子はいっこうにあそこから移動しようとしない。
何故だ。
「先生が来てないからだろ?」
「あ、そうか」
って、今俺喋ったかぁ!?
「うん。喋ってたけど?」
って、また喋ってしまったぁ!!
「今のもね」
・・・もういいや。
先生が、ガラッとドアを開けると、亮平の言ったように女子共は席へと戻っていった。
俺も、やっとのことで、自分の席へと戻れる。
「ふはぁ」
安心したのか、なんなのか分からないが、俺は自分の席に着くなり溜息をしてしまった。
「風紀ごめんねぇ?」
俺が、溜息をした理由が分かったらしい。
「え? 明日香は悪くないから」
俺は、とっておきのスマイルを見せて、明日香を安心させた。
先生が教壇の前で、今日の一日の用事やらなんかが話している。
そんな話を、まともに聞いている生徒はごく僅かだろう。
「秋本さん。この後すぐに職員室まで来て〜ちょ」
先生が変なテンションでそう言った瞬間、室内は静まった。
「はい」
隣にいる明日香は笑顔でそう答えた。



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