デザニィーを出ると冷たい視線が俺たちを包んだ。 いや、正確に言うと俺を・・・だ。 まぁこんな可愛い彼女が隣に居れば、誰でもそう思うのだろう。 分かるよその気持ち。 高校生が居ていいのかよく分からない時間(PM10時11分) 大分疲れたといっていいだろう。 「風紀ありがとねぇ」 「何が?」 「迎えに来てくれて」 そのあと沈黙。 「あ〜新1年生はどうだった?」 沈黙を紛らわすために俺はそう聞いた。 「映画研究部って感じだったよ」 分かりやすい説明だ。 映画研究部って感じ=特徴ある人なのだから。 カツカツカツカツ。 後ろのほうから何か音がする。 俺はその場に止まって見た。 案の定その音も止まる。 「風紀〜?」 明日香に名前を呼ばれた。 「ん? あぁ今行く!」 俺はそう言って、駆け足で明日香の下へ走った。 明日香はこの音には気付いていないらしい。 聞いてはいないがそんな感じだ。 その日は何事もなく家に着いた。 「気のせいか」 俺は自分にそう言い聞かせて自分の部屋へと入っていった。 次の日の朝。 事件は起きた。 「ふ、風紀〜〜〜!」 バン!と勢いよくドアを開ける明日香。 何時かは分からないが、いつもより眠いのは確かだ。 俺の布団に明日香が手を掛けた瞬間、俺の目覚めはふっ飛んだ。 「な、何!?」 「これ!」と言って、出てきたものは封筒が一つ。 「これがどうした?」 「宛先見た?」 「宛先ぃ?」 俺がそう言って宛先を見る。 そこには『明日香様風紀様へ』と書かれていたのだ。 「亮平じゃないの?」 俺がそういうと、明日香は思いっきり首を横に振って、中身を俺の布団へとまき散らかした。 「こ、これって」 明日香の写真&俺と明日香が家の中に入っていく瞬間の写真。 「風紀ぃ〜どうしよう?」 「どうしよう・・・って言われても」 そのときだった。 ピンポーン。 そして、玄関のドアが開く音。 そんでもって、俺の部屋に入る音。 「なにしてんだお前等」 亮平だ。 「これ見てみろよ」 俺は亮平にそういい、封筒と俺の布団に散らかっている中身の写真を見せた。 「うわぁ〜派手にやったねこの人」 「誰か検討つかないか?」 「うお! すっげぇ明日香のパジャマ姿じゃん。あと下着姿・・・は無いか」 「ってお前何言ってんだよ」 俺が思いっきり朝から亮平にローキック。 「痛ぇ! ごめん、ごめん。それにしても誰がこんなこと」 「やっぱりお前でも分からないか」 ん〜と悩む俺達。 「俺も少し前にこんなことあったっけ。あ〜あとスリッパがなくなったりとか?」 ・・・それは明らかに熱狂的な亮平ファンだろう。 「まぁ亮平が少し探りを入れれば分かることだろ?」 俺がそういうと、亮平は少し困った顔をした。 「勿論! って言いたいけれど、明日香を好きなのは100人以上だからな。しかも他学校からもアプローチかかってるみたいだし。な? 明日香」 「え・・・少しだけね」 「あるのかよ! だったら俺に言えって」 「ご、ごめん・・・。だけど、学校裏に呼び出されて何にも言わずに立ち去る人が多いんだもん。嫌がらせだよ?」 多分そいつ等は、明日香と一対一になってその場の雰囲気に耐えれなくなったんだろう。 ある意味悪魔だなこいつ。 「まぁできるだけのことはやってみるから」 「よろしくな」 亮平にその事を頼むと、俺は二人に部屋から出て行くように合図をした。 俺はパジャマなんだから。 制服に着替えて、リビングに向かうと亮平が悠々とご飯を食べていた。 明日香がこんなピンチの中、そんなゆったりしてていいのか。と思いつつ、俺もテーブルの回りにある椅子に座る。 そして明日香の手料理にありつくわけだ。 それからは、いつも通り学校へと3人で向かう。 学校への道は、恐怖と不安と怒りでいっぱいだった。 後ろを向くが誰も居ない。 その行動を何度も繰り返している俺だった。 ←戻る TOP 進む→ |
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