学校に着いた。 靴を上履きに履き替えに、下駄箱へと向かう。 自分の上履きを取るときだった。 一枚の紙が目に付いたのは。 「なんだこれ」 俺は不思議に思い、その紙を手に取る。 『お前たちのことがばらされたくなかったら、俺の言うことを聞け。まずは今日の放課後、屋上へ明日香ちゃんを連れて来い』 と書かれていた。 「・・・まじかよ」 さて、どうするか。 迷ってる暇は無かった。 明日香には、言えない。 俺は放課後、一人で屋上へと向かった。 ガチャと、普段は開いていないと思われているが、実はちょっと細工をしたらすぐ開くドアを開ける。 そこには一人の男性が立っていた。 「明日香ちゃんは?」 その男の顔は不明。 なぜかと言うと、その男は何故か覆面を被っているからだ。 「明日香は・・・明日香には関係ないことだろう」 俺がそういうと、男はこういった。 「関係ない? まぁこの事は想像したどおりだ。お前が明日香ちゃんを連れてくると逆に困ったことになるからな」 じゃあ何で『連れてこい』なんて書いたのかが不思議だが。 フフフフと奇妙な笑い声をあげ、右手をあげパチンと指を鳴らした。 「まずはお前に、その重さを教えてやる」 すると、ドシドシ男子が出てきた。 不良といえる不良ばかりだ。 「うっほぉ・・・まじかよ」 いくら俺でも、50人近くの相手をするのは厳しい。 「安心しろ。ここに居る野郎は、あのことを知らないから」 ククククと奇妙な笑い声が再び。 安心しろって言われてもねぇ。 こんな人数を前にしちゃ、安心するにも安心しきれないって。 「逃げるが勝ちって奴かな」 俺は屋上のドアに手を触れた途端、あの覆面男の声が聞こえてきた。 「お〜とストップ! お前に逃げてもらったら困るんだよね。ここから逃げたら今すぐあの写真を、構内にばら撒く予定ですから。OK?」 OK? って聞かれてNO! と言える馬鹿は居ないぞ。 俺は心を決めて、深呼吸を2回、3回とした。 「我が力見せ付けてやる」 と、はったりは聞かないようで、不良といえる不良君たちの顔は何一つ変わらない。 こんな所で亮平が来てくれたらいいなぁ。 なんて、人に頼っちゃ駄目か。 いくらなんでもそんなベタなシーンはないだろう。 そのとき、後ろのドアがガチャっと音を立てて開いた。 「ベタだなぁ」 俺がそう呟くと、ドアを開けた亮平が今にも飛び出してしまいそうな目を、しっかりとしまっている。 「どういう状況かは知らないが、まぁあの事に関係しているんだろう」 うんうん。と勝手に頷く亮平。 合ってはいるけど、そんな余裕見せてると・・・って! 俺に降りかかってきた金属バット。 なんなく交わせたが、危ない所だった。 「面倒くさいな」 俺は頭をポリポリかきながらそういった。 「おう」 亮平は、やる気満々みたいだ。 「久しぶりに」 「やりますか」 俺たちがそういった後、死闘は始まった。 先ほどの金属バットが、再び俺を襲ってくる。 俺は右足を引き、軽く交わして腹に一発。 一人ばっかり相手は出来ないので、次に掛かってきた右前の野郎に回し蹴り。 一人ダウン。 すると、さっきの金属バット野郎が俺に苦し紛れに殴ってくる。 そのパンチを軽く超えるスピードでカウンター。 そこで二人ダウン。 横と前で二人一緒に俺に向かって殴ってきた。 前の奴の拳を避け、横の奴の拳は気配でキャッチ。 前の奴のわき腹に左足でキック。 横の奴は拳を捻ってその場に崩し落とす。 少し後ろに目を向けると亮平もしっかりと倒しているようだ。 我等は西京中、喧嘩西京コンビ。 香坂風紀と清水亮平。 そこらの強いといわれている不良には絶対負けない。 西京ならぬ、最強なのだ。 その死闘は、15分にも及んだ。 死闘の後は、屋上そこらへんに悶絶した不良君ばかり。 「ハァハァハァハァ・・・」 軽く5発ぐらい入っただけか。 「お前何発くらった?」 亮平に聞くと、亮平は指で7を示していた。 「俺は5。俺の勝ちだな」 ヘヘヘヘと笑う俺達。 しかし、一人大物を残していた。 覆面の男。 「ヤベ!」 俺はあたりを見渡すと、その男の姿はもう何処にも無かった。 ばらされるぞこりゃ。 「どうすんだよ風紀」 息が荒い亮平。 「まず、あいつを止めなきゃ」 俺は屋上を飛び出した。 ←戻る TOP 進む→ |
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