「好きだ楓。お前のことを愛してる。」

夢のような言葉が耳に入った。
その日は夕方。
何言ってるの?郁。
あなたと、私は友達でしょう。
なんで、、、そんなこと、、、言うの?
Loveじゃないでしょう?
Likeでしょう?
私、どうすればいいか分からないよ。

バン!バン!バン!
机を叩く音。
その音でいっきに目が覚めた。
「ゆ、夢か」
周りを見ると、4日前と同じあの光景。
学校の教室で寝てたようだ。
額を触ると軽く汗が付いている。
大分焦ってたな私。
「アハハハハ」と言いながら頭をポリポリと掻いた。
「『アハハハハ』じゃねぇよ馬鹿やろう」
隣からそう聞えたのは、起きてからまもなくのことだった。
「なんだよ!馬鹿やろうって!私はあんたより、頭はいい!」
低レベルな喧嘩だと思いながらもやめられない。
「そこを馬鹿だって言ってるんだ」
ケラケラと笑い始める郁。
「あんたってやつは」
郁を見ると夕日を浴びていた。
さっきの夢のことを思い出す。
バクバク。
心臓がそう言っているのが分かった。
「い、郁〜〜!」
私は叫んだ。
アホだろう。アハだろうが、気になるんだ。
郁の口からははっきりと聞いていない。
暗黙の了解だからね。
ですよね?
私の心に問いかける。
「何?」
ケラケラ笑いながらそう言った。
私はひとつ深呼吸し、郁のを方をマジマジと見る。
「な、何だよ」
と言って、郁はケラケラとは笑わなくなった。
「郁って私のことどう思ってる?」
そう問いかけると、その場の雰囲気は『シ〜ン』というオノマトペにぴったりのようだった。
何故か空気が重い。
「郁さん、聞いていますか?聞いていますか?」
その空気に耐えれずにロボット風に喋りだす私。
その必死のボケにも郁はツッコミさえ入れない。
ただ、真剣な顔をしている。
「う、うん」
その真剣さは郁らしくなく、なんともいえないオーラを出している。
その雰囲気に耐えれず、私はこう聞いた。
「Like or Love?」
直訳すると、好きか好き?
意味不明だ。
だけど、私たちの関係。そんなことは説明しなくても分かる。
「Likeだよね?私と郁は友達だよね?」
何秒か時間が空いて郁はこう答えた。
「あ、あたりまえだって!」
「そうだよね!」
ふっ。これで一安心だ。
あの夢は正夢なんかではないのだろう。
きっと、違うだろう。
郁は、私のことを友達としか思っていない。
いやちょっと待て、何で私はこうも焦っている?
意味不明だ。
とりあえず、落ち着こう私。
ヒーヒーフー。ヒーヒーフー。
って、これ出産の時の深呼吸の仕方じゃないか!?
ス〜ハ〜ス〜ハ〜。
うん。おっけぃ。
「郁?」
私と目をあわさない郁が返事を返した。
「郁、家に行くか〜?」
私は、笑ってそう言った。
すると、郁の顔からはいつもの笑顔が戻り、
「寒っ!今さっき、『郁』と『行く』をかけただろ」
と答えた。
「あっばれた?」
いつもの二人。
いつもの光景。
いつもの感情だった。



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