「おはよぉ」
私が「Like or Love」を聞いた次の日のことだった。
全く雰囲気の違う郁。
「おはよ」
なんだか気持悪い。
「い、郁くん?」
「何?」
恐ぇ〜!
昨日の帰りとはうってかわり、不機嫌模様の郁。
な、何があったんだ〜!?
大丈夫か?郁。
おか・・・あた・・・
いや、まず私が落ち着こう。
おかしくなったんじゃいのか?頭がこいつは!
よし。
何故か、心の中で叫ぶ私。
「だ、大丈夫?」
数秒時間を空け、郁はこう叫んだ。
「大丈夫なわけあるか!」
「はぁ!?」
本当に、はぁ!?である。
「はぁ!?はこっちだ!」
おいおい郁。本当に頭おかしくなったんじゃないのか?
「もうしらん!」
郁はそう言って、ドスドスリビングへと向かって行った。
大丈夫なのか?彼は。
リビングで食事中。
ズシ〜ン。
と言える、空気の重さ。
重い!重い!重い!重い!
パクパク不機嫌そうな顔でご飯を食べる郁。
その郁を小さくなりながら上目遣いで除く私。
「い、郁ちゃん?ご飯もういらない?」
お母さんも少し遠慮気味で聞く。
いくらこの親でもこの雰囲気には気付いているようだ。
「はい」
そう、恐恐しく返事をする。
何で自分の家なのに、こんな遠慮をしなくてはならぬのだ!
と言うか、何で郁はこんなに不機嫌なのだ!?
何で?
何で?
何でよぉ!?
郁は、自分の使ったお茶碗等を台所へと持って行き、そこに置いた。
そして、自分の鞄をつかみ「いってきます」といい、私を置いて家を出て行った。
・・・。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
私は、食べかけのご飯を置いて家を出た。
「郁!!」
「何?」
必死に郁の下へと駆け寄る。
「な、何でそんなに不機嫌なのよ?私なんかした?」
「した」
そういい、郁は歩き続ける。
いつもとは違う郁。
いつもとは違う関係。
そしていつもとは違う、私の心境。
何故か、心が痛いのだ。
「郁、待ってよ!」
私は、ぴったりと郁の横へと身体を寄せた。
いつもより郁の歩幅が大きく、私が走って追いつく程度の速さだ。
いつも、郁は私のペースに合わせてくれたんだ。
などと、のんきな事を考えながら走る私。
「はぁはぁはぁはぁ」
何も部活に入っていない私にとって、このペースは可也疲れる。
徐々に郁との間が開いていった。
この距離が私と郁の距離なんだと。
どんどん郁が離れて行って、小さく見えて行って、
寂しく思えた。
「ま、ま・・・」
何故か「待って」とも言えぬ身体になってしまった。
それと同時に足さえも止まってしまって。
「なんでよぉ」
無性に泣きたくなった。
郁はいつも私の側に居てくれて。
喧嘩はする仲だけど、郁のことは私が一番知ってて。
そして、郁のことが大好きで。
この距離が、無性に悲しくなって、泣きたくなって。
「う、うぇ〜ん」
そして、泣いた私。
「う、う、う、」
涙が止まらないよ。
「早く行くぞ」
郁の声が、そっと側で聞えた。
私は差し出された手を片手でつかみ、郁に教室まで連れて行かれた。
いや、連れて行ってもらった。
「楓大丈夫?」
「な、なんこと?」
朝のホームルームも終わり、休み時間。
真苗が私に話しかけてきた。
「今日の朝、泣いてた」
あっばれてた。
てか、あの状態を見られたことが恥ずかしい。
「ま、、、そんなこともあったかな?」
アハハハハと笑って誤魔化す私。
「郁がやったの?」
ま、真苗さん。そこで私がはいと答えたらの貴方の行動が見え見えなんですけど。
「まぁ、色々とあって」
そう答えると、真苗は「殺す」と言って郁の下へと歩み寄った。
「郁。ちょっと話がある」
真苗さん恐いよ!
「何?」
そう言って、真苗は郁の耳元で何かをささやいた。
「分かった」
真苗がそっと耳元から口をどけると、郁はそう言った。
な、何の会話をしたんだ彼らは。
真苗がちょこちょこ私の元へと戻ってきた。
「な、何言ったの?」
「決闘を申し込んだ」
はぁ!?
「嘘でしょ?」
「マジ」
真苗さん、本当でしょうか?
本当なら私はとめなければならない。
「楓は、もう何も聞かない。いい?」
真苗の真剣な顔。
何が起こるか。何をしようとしているのか。
何故か不安になった。



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